基礎伏図とは、基礎を真上から見た図面になります。
その基礎の中に入る鉄筋の配置を表す図面が配筋図です。
DIYで描いた基礎伏図、配筋図と、鉄筋コンクリートについても触れておきます。
鉄筋コンクリートとは
鉄筋コンクリートは、型枠に鉄筋を組んで、生コンクリートを流し込んでつくられます。
優れた耐久性と、自由度が高く、堅牢な構造物をつくることができるため、
数多くの建築物で使用されています。
コンクリートは、押す力には強いけれども、引っ張る力には弱いという性質があります。
ここに、粘りがあり引っ張りに強い鉄筋を入れて抵抗し、
全体のバランスと強度を上げた複合素材、というわけです。
複合素材とは、違う素材を合わせて使うことで、
互いの欠点を補い合って、
1+1=2以上の結果を出す、というものです。
コンクリートは強アルカリ性のため、酸化(さび)に弱い鉄筋を保護してくれます。
合わせることで、強度だけではなく、耐久性も上がるというのは、すごいですね。
出来上がるまでの工程は多いですが、とても優れた素材です。
1981年以降、基礎コンクリートに鉄筋を入れることは義務化されている為、
現在の木造住宅の基礎部分は、全て鉄筋コンクリートで出来ています。
基礎伏図とは、
基礎伏図とは、基礎部分を真上から図面です。
基礎全体の形や、立ち上がりや人通口、アンカーボルトの位置、などの位置関係が分かるようになっています。
要所部分の基礎断面図も、添えられている場合もあります。
基礎の大きさ、高さ、構造、などが把握できる図面です
以下、木造住宅のベタ基礎で主に使われる部分の役割と名称です。
スラブ
ベタ基礎の場合、底に広がる平面部分を指します。
スラブがあることで、全体が一体化されて強固な基礎をつくることができます。
ベタ基礎の特徴的な部分になりますね。
鉄筋が格子状に入っています。
強度を上げるために、2重に(ダブル配筋)なっている基礎もあります。
こちらの記事でも触れています。ご参考に。
立ち上がり
柱や土台の荷重を受けるため、立ち上がっている部分を指します。
建築基準法では、高さ30cm以上、幅12cm以上で耐力壁の下には連続してつくることが決められています。
こちらの記事でも触れています。ご参考に。
地中梁
基礎スラブ下部に設置される、梁になる部分を指します。
根切りをする際、地盤面を掘り下げることによって、つくられます。
地面の中に位置するので、地中梁と呼ばれます。
小規模の住宅では、設置されない場合もあると思います。
外周部分も、地中梁の役割を持っている、と理解しています。
人通口
トラブル時やメンテナンス作業のために、
床下に後から人が入っていける通り道になる部分を指します。
一般的には、立ち上がり部分を、幅600mm位で切り取ったような形で配置されます。
構造的に、弱くなる部分なので、必要以上にはいれませんが、配置しておかないと、後のメンテナンスがたいへんです。
これは、床下点検口の位置とも関係してきます。
また、人通口の周りには補強筋をいれます。
アンカーボルト
土台や、柱の引き寄せ金物を固定するために、あらかじめ基礎立ち上がりに埋め込む金物です。
アンカーボルトの位置取りの目安です。
土台用M12アンカーボルト
- 柱芯から200mm以内
- 土台継ぎ手、男木側120mmくらいの位置
- 間隔は2700mm以内
- 長い(≒4M)土台の部分には3ヶ所以上
柱引き寄せ金物用M16アンカーボルト
- 柱面から30mmくらいで土台中心の位置(位置取りは、使う金物によって指定があります)
- 耐力壁を考慮して配置
以上の点に気を付けて配置する必要があります。
アンカーボルトの埋め込み深さの目安です。
- M12で250mm以上
- M16で360mm以上
この目安は、一般的なZマーク金物などのものです。
なかには、埋め込み深さが短くても、同等の引張強度を有する製品もあるので、十分な埋め込み深さが確保できない場合に有効です。
あくまで、目安です。
図面上でしっかりとした検討が必要です。
こちらの記事でも触れています。ご参考に。
基礎伏図を描いてみました
私の場合は、ベタ基礎になるので、基礎全体がコンクリートで覆われるかたちになります。
立ち上がり部分にアンカーボルトの位置や、人通口などが、記載されています。
要所部分の、断面図も添えてあります。

この図面は、後述する配筋図を変更を反映した図面です。
配筋図とは、
配筋図とは、鉄筋の種類や組み方を詳しく記した図面です。
鉄筋コンクリートの性能を十分に生かすためには、
適切な場所に、適した鉄筋を設置していくことが重要です。
一般的には、構造建築士により、この適所適材を考察した図面が描かれます。
木造住宅の基礎のような場合は、
ハウスメーカー、設計事務所、基礎屋さんなどが、製図する場合もあると思います。
いずれの場合も、伏図(平面図)と断面図が必要になってくると思います。
構造物全体が、鉄筋コンクリートでつくられた建物(RC造など)は、
もっとたくさんの図面と、構造計算が必要になります。
以下、木造住宅のベタ基礎で主に使われる鉄筋の役割と名称です。
主筋と配力筋
ベタ基礎の平面部分(スラブ)には、格子状に鉄筋が入っています。
この網の目になった鉄筋は、主筋と、配力筋という名称で分かれています。
構造物に受ける力に、メインで抵抗する鉄筋が主筋、
主筋に力を均等に伝えていくのが配力筋、と理解しています。
一般的には、短辺方向が主筋で、長辺方向が配力筋になります。
ちなみに、スラブでの配筋は、主筋が下側(地面側)で、配力筋がその上側になります。
縦筋と横筋
縦方向に置かれる鉄筋が縦筋、横方向になると横筋、と呼ばれます。
いずれの鉄筋も等間隔で並べることが多く、ピッチと呼び、@200などと表記されます。
ちなみに、@200は200mm間隔で並べてね、という意味です。
建築基準法では、基礎鉄筋のピッチは300mm以下となっています。
あばら筋(スターラップ筋)
あばら筋は、スターラップ筋とも呼ばれます。
ベタ基礎では、外周部分や地中梁の部分に配筋される鉄筋のことです。
基礎の形状にあわせて、加工してあります。
配筋については、こちらの記事でも触れています。ご参考に。
配筋図を描いてみました
最初に描いた配筋図になります。
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壁面の下にグルリと、立ち上がりが設置されていて、
そこにD13とD10の横筋、D10の縦筋が入るようになっています。
スラブ部分は、D10を200mmピッチの格子状になっています。
これを、知り合いの構造建築士の方に監修していただきました。
根切りをしない旨も、伝えてあります。
下の図面が、アドバイスを頂いたときのものです。

新しく、D16を使った〈立ち上がり2〉を設置することと、
スラブ部分の配筋ピッチを200mmから150mmに変更する、
というアドバイスを頂きました。
ありがとうございました。
その通りに修正します。

指摘された部分を修正した図面です。
これが、そのまま施工図になります。
おわりに一言
最後まで読んでいただきありがとうございます。
記事内で出てくる構造建築士の方には、
以前の建築計画のころから、
大変、お世話になっており、
ご迷惑もおかけしています。
もちろん、私が、自分で設計、施工する、
ということも承知の上です。
プランを何度も変更して、
その度に、目を通して頂いて、、、
本当に、本当に、
ありがとうございました。
このような方に巡りあえて、
私はとても幸運です。





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