プレカット材を組むときに注意すべき柱の番付(ばんづけ)の向きや、柱立て作業の紹介です。
あわせて、木造住宅の柱の種類や化粧柱についても、触れておきます。
番付(ばんづけ)の向き
プレカット材を組むときに注意すべき、番付の向きについての話です。
プレカットについては、こちらの記事で紹介してます。ご参考に。
プレカット業者さんの一言
プレカット材の荷受けの日、プレカット業者さんにも来て頂いて組み方の説明を受けました。

南側から全ての文字が揃うように並べてください。
それだけです。
いろいろと、諸注意があるのかと思っていたら、
ニッコリ笑って、
「後は、握力が続く限りピンを打ち込んでください。」
とのこと。
キョトンとしていると、補足説明して頂きました。
プレカット材を組むときの番付(ばんづけ)の向き
プレカット図には、X軸にあたる部分に「数字」Y軸にあたる部分に 「かな」が、モジュールに合わせて、割り振ってあります。(下図面 赤枠)
この数字とかなが、すべてのプレカット材に記されていて、これを番付と呼びます。
元々は、大工さんが間違えないように記していたものだそうです。
例えば、図面で「い」と「1」が交わるところにある柱が「い1」番と書かれています。
これなら、どの柱かすぐに分かりますね。
私の場合は、「い1」番は無いんですが、中には分かりずらいものもあります。
(下図面 プレカット土台伏図)

それは、数字とかなが、ピッタリと重ならない場所にある柱です。
そのような柱には、「~の間」という意味で「又」の字が付いています。
上図面で緑色の線は、片方は「り」ですが、もう片方は「8」と「9」の間にあり(8又9)となり、数字の若いほう、もしくは距離の近いほうを残して(8又)、これに「り」を加えて「り又8」となります。
さらに、隣の柱は「り」と「ぬ」の間にあることを示す(又り)を加えて「又り又8」となります。
ややこしいですね。

私も一度間違えました。けれども、
「あれ、ピンが入らない?」
となり、気が付きました。
さすがプレカット業者さん、間違えやすい場所はピンの方向を変えてありました。(上写真 赤線)
お心遣いに感謝です。
こんな業者さんですが、ごく稀に、金物の向きが間違って付けられている場合があるそうなんです。
それでも、信用すべきは番付の向きなのだそうです。金物の方を修正します。
そんな時は、大工さんから大声でクレームが入って、慌てて現場へ付け直しに行くそうです。
でも、大工さんの機嫌がいい時は、
「こっちで、直しておくから大丈夫よ~」
って感じで、OKみたいです。
こんな裏話もニコニコ笑って話してくれます。
ほんとに、素敵な方です。
(スケジュールカツカツで殺伐とした現場の雰囲気が垣間見えて、ちょっと怖かったですが、、)

上写真が、柱を立てたところです。
写真のようにすべての文字が南側(プレカット図面下側)を向くように組んでいきます。
これは柱だけでなく、横向きに組む(横向きの場合、南側から読めるように)土台、梁、桁、母屋、棟木なども含めて、全部です。
これが、プレカット材を組むときのルールといった感じでした。
※ 業者さんによっては、先ほどの「南側(図面下側)に向かって」とは違う場合もあるようです。これは、私が頼んだプレカット業者さんの場合であることをお断りしておきます。
木造住宅の柱の種類
柱の記事なので柱について、少し。
木造住宅の柱の種類を、4つの側面から見てみます。
木造住宅の柱の名称
(1)まずは、名称から。
2階建てなどフロアがいくつかある場合、フロア部分を抜けて下から上まで1本で通している柱を、通し柱と呼びます。当然、長尺のものになります。
そして、通し柱以外の柱を管柱(くだばしら)と呼びます。
通し柱は要所にしかないので(ない場合もあります)、柱といえば概ね管柱のことです。
また、柱と柱の間に設置する羽柄材としての柱は間柱となります。
間柱は、柱と名前は付いていますが構造的な役割は考慮されていません。
あくまで、補助構造材です。
お察しの通り、当ブログのような平屋の場合、すべて管柱になります。(間柱はあります)
そういうわけで、ただの「柱」でも構わないのですが、プレカット材には律義に「1F」と書かれて「管柱」として搬入されます。
木造住宅の柱の樹種
(2)次に、樹種。
スギ・・・真っ直ぐに育ち、軽くて扱いやすい、日本が誇る固有種です。
植林面積も一番多く、様々な場面で利用されています。
流通量が多く、比較的コストパフォーマンスに優れています。
ヒノキ・・・独特の香りと色つや、耐久性、防蟻性など、優れた針葉樹です。
国内ではスギに次いで、植林されているそうです。
これらの樹種、スギ、ヒノキが、一般的で流通量も多いです。
それ以外の樹種になると、
マツ・・・硬くて粘りがあるので梁材などに用いられていることが多い建材です。
ただ、ヤニが出てきたり、虫の食害を受けやすいなどの面もあります。
輸入材・・・ホワイトウッド、レッドウッド、ベイマツ、など、様々です。
ただ、ウッドショックを経て2025年時点では、以前のようなコストパフォーマンス面の有利さは、小さいように感じます。
他にも、ヒバ、クリ、ケヤキ、などありますが、流通量は少なめで、高価な建材になると思います。
さて、下の写真 柱はスギで、土台はヒノキになります。

違いが、お分かりでしょうか。
・・ムムム。
難しいですよね。私も分かりません。
製材する前の木は、違いがハッキリ分かりますが、建材になると見分けるのが難しいです。
ヒノキはスギと比べると若干重くて、見た目に芯(赤味)は桃色気味で、他(白太)は黄色味が強いです。
でも中には、そうでないスギそっくりのもあります。
切ってみると、ヒノキの香りがするので、
「ああこれ、やっぱヒノキだ。」
などとなります。
(もちろん、プロの方はバッチリ見分けがつくと思います。)
余談でした。
木造住宅の柱の大きさ
(3)それから、大きさ。
一般的によく使用されるのが、120mm角(四寸角)、
もしくは、105mm角(三寸五分角)です。

写真のように並べてみると、120mm角の方が一回り大きいのがよく分かります。
一辺15mmの差なんですが、持つてみると重く、ボリューム感も違います。
平屋では、105mm角が使われることが多い印象です。
木造住宅の柱の加工方法の違い
(4)最後に、柱になるまでの加工方法の違い。
まず、丸太から製材されたものをそのまま使う無垢材と、
板状の角材(写真赤枠)を、張り合わせて加工した集成材とに分かれます。
上の写真の右側は集成材、後は無垢材になります。
無垢材・・・丸太から製材して利用する自然素材の為、ひとつひとつ違った温もりがある反面、反りがあったり強度にバラツキが出たりします。
長さも制約があり、長くても6M位が定尺になり、それ以上長尺のものは特注扱いになると思います。
日本の製材の木取りは歴史もあり、無駄なく必要な柱、羽柄材がつくられています。素晴らしいですね。
集成材・・・工場で板状の木材を接着剤で張り合わせてつくられた製品で、エンジニアリングウッド(EW)と呼ばれます。
工業製品の為、品質にバラツキがなく強度も安定していると言われています。
また、継ぎ足して接着していくので長尺のものも製作可能です。
そして、木材を乾燥させる方法の違いです。
そのまま天日で乾かす、自然乾燥(AD)材と、
ボイラーを使って強制的に乾かす人工乾燥(KD)材に分かれます。
自然乾燥(ADエアドライ)材・・・木材本来の油分や香りが失われずに残るため美しい風合いが残ります。
ただ、自然乾燥のため時間がかかり、反りや割れが生じやすい面もあります。
人工乾燥(KDキルンドライ)材・・・温度や湿度を管理して人工的に乾燥させるので、狂いが少なく品質が安定すると言われています。こちらの方が、主流になっていると思います。
ただ、乾燥のときに、水分と一緒に木材の油分も無くなってしまうため、風合いや粘り、防蟻性などを多少損なってしまう面もあります。
他にも、乾燥処理していない G(グリーン)材 がありますが、建材としては適さない、と言われています。
ちなみに、私の場合は、1F 管柱、スギ無垢材の 105mm角 KD材 になります。長いですね。
化粧柱とは、
ついでに、化粧柱についても触れておきます。
ザックリ言ってしまうと、見える部分に使う柱は化粧柱です。
ただ、一口に化粧柱といっても、材質も形状も様々です。
大きく分けると、素材そのものの美しさで勝負する無垢材タイプと、
表面をカバーするように覆うカバータイプに分かれます。
無垢材の柱の場合、樹種や見た目が重要視されます。
樹種は、ケヤキ、ヒバ、クリ、ヒノキ、スギ、などなど、様々です。希少なものほど高価です。
見える面に傷や節の無いところを使った、「四方無地」を筆頭に「三方無地」「二方無地」「平一面無地」と続きます。
「二方無地」や「平一面無地」は、柱を見せる真壁に使われたりします。
もちろん、「四方無地」が最高級品です。
また、杢と呼ばれる独特の模様があるものも高級品です。
和室の床の間にある床柱などに使われます。
見栄えが良いほど高価になるので、コストパフォーマンスという点ではカバーするタイプの方に分があると思います。
カバーするタイプは、素材によって様々な種類があります。
木製(突板)・・・薄い板材を、柱に張り付けたタイプです。
見た目は無垢材のようで、コストパフォーマンスに優れています。
クロス(壁紙)・・柱にクロスを貼ってあるタイプで、壁紙と同じ色やデザインで合わせてあるのを見かけます。
柱が目立ち過ぎずに調和した感じになると思います。コストパフォーマンスがよいです。
金属製・・・アルミなどの金属製のカバーを柱に付けるタイプです。
主に屋外で玄関先に付いてたりします。工業製品なので均一なデザインでアクセントをつけることができます。様々な色やデザインがあり、中には円柱状のものも。
ちなみに、上の柱の比較写真で写っている120mm角の柱は、古びてますが「三方無地」の化粧柱です。
これ、頂き物なのですが、どうやら返品されたものみたいです。
というのも、大工さんが書いたと思われる「イリカワ」の文字が残っていました。(下写真)

入り皮「イリカワ」とは、成長過程で皮を幹に巻き込んでしまったものです。
大きく巻き込んでしまうと、木材の品質を落とします。
しかし、写真のイリカワは、ほんのチョットです。
「・・・これだけなのに、ダメなのか。」
無節の無垢材は、厳しいチェックをされてます。
柱立てとは、
柱立てとは、最初に柱を立てることを建て方の儀式として行う「柱立て式」と、
今回のように、単純に柱を立てていく作業を指す場合があります。
儀式として行う場合、施主が飾り付けられた柱を立てる行為がメインのイベントになると思います。
ただ、建て方のメインイベントは「上棟式」になってくると思うので、実際に行っている方は少ない印象です。
柱立てをしました
DIYで行った柱立て作業の紹介です。
防蟻剤を塗りました
まずは、ローラーで防蟻剤を塗っていきます。
下の1Mくらいでも問題ないのですが、全体に塗布しました。
この防蟻剤は、臭いも気にならないので遠慮なく塗ります。

塗ったら、柱を配っていきます。
一度に配ると邪魔なので、何本かに分けて、
塗っては配って、立てる、この繰り返しでした。

プレカット金物工法の柱立て
プレカット金物工法の柱には、金物を入れ込む穴が付いています。(下写真 赤丸)

柱立て作業は、お察しの通り金物を柱の穴入れてドリフトピンを打ち込むだけです。

下写真の赤丸部分が、ピンを入れる穴です。
柱を、立てただけだとグラグラしていますが、ピンを打ち込むと、柱が引き寄せられてグッと締まる感じになります。

あとは、番付と向きを間違えないようにして、立てていくだけです。

プレカット在来工法の柱立て
プレカット在来工法の柱は、平ほぞ継ぎで加工してありました。
ほぞの周りが胴付き部になっているので、正確には、四方胴付き平ほぞ継ぎとなります。
ほぞ継ぎとは、
ザックリ言うと、凸状に加工した部分(男木)と、凹状に加工した部分(女木)を組み合わせることで木材を接続する方法です。
組み方は、たくさんの種類があります。
調べてみると、そのバリエーションの多さにビックリします。歴史を感じますね。
下の写真は、柱のほぞ(赤四角)と、土台のほぞ穴(赤丸)になります。

プレカットの場合は、加工済なので番付に気をつけて立てていくだけです。
脚立と足場板を、お借りしました
ここで、知り合いの左官さんから、脚立と足場板を貸して頂きました。
ご存知のように、家を建てる際には周りに足場(仮設材)を組んで建てていくのが一般的です。
まるで、家をラッピングするかのように、足場の落下防止ネットや、養生シートなどが掛けられているのを見かけた方も多いと思います。
私の場合は、施工期間が長くなるので、仮設材はリース代を考慮してやめました。
平屋なので手持ちの脚立と足場板で、なんとかならないかな、と考えていたところでした。
たまたま知り合いの左官さんと 話す機会があり、
「脚立など持っているから、貸したげる。使いな。」
と、渡りに船の一言。本当に感謝、感謝です。

お借りした脚立と足場板です。
シッカリとしたベイマツの足場板と、脚立7尺が2本と6尺が4本などです。

上写真の赤四角は、脚立の足に付ける高さ調節の部品です。
屋外でデコボコしたところに立てる際、めっちゃ便利でした。
カケヤもお借りしました。
カケヤとは、下写真の大きな木槌で、建て方のときに活動します。
持ってなかったので、助かりました。
至れり尽くせりです。
お世話になります。

カケヤの当て木もつくりました。
写真の赤丸の当て木は、ほぞを痛めないように、被せて使います。

ほぞ組の柱は、妻に手伝ってもらいました。
ほぞは、ほぞ穴より少し大きくしてある為、上からカケヤで叩いて入れました。
あまり強く叩いても、胴付き部分で跳ねてしまうので加減しながら叩きます。

ただ、金物工法のようにグッと引き寄せる感じではないので、はまっても少しグラグラします。
横架材が入るとしっかりしてきます。
後ほど金物で補強します。
プレカット化粧柱の柱立て
今回は、化粧柱を4本頼んでいます。(下写真赤枠)

プレカット図面では、(杉KD)特一等 超仕上げ・紙巻養生 と書かれています。
これだけ見ると、すごい感じですが、、
無節などの立派な化粧柱ではありません。
他の柱と同じものを、表面を研磨して仕上げてあります。
特一等と書いてありますが、現在流通している柱は、ほとんど特一等になります。
(その下の、角部分が立っていない一等、二等などの柱は見かけることが少なくなっています。)

(上写真 化粧柱の紙巻き養生を外したところ)
これについては、事前にプレカット業者さんに聞いていました。
「大丈夫です。色塗ってしまうので、問題ないです。」
どのみち、そんな立派な化粧柱を入れるつもりはありませんでした。
化粧柱は、もの次第ですが、それなりの値段になると思います。

養生してあるダンボール紙を剥がす前に、番付を柱に書き写しておきます。
番付、大事ですからね。忘れないように。
ピンのところに穴が開いているところをみると、養生したまま立てる柱のようです。
そのまま、しばらく養生しておくのでしょう。
私は、早々に剥がして色を塗りました。

ローラーで色を塗っていきます。

色が塗れたら、立てていきます。
ところで、一般的な金物(下写真赤丸)と比べて、化粧柱の接続金物は少し長いです。(下写真赤四角)

土台伏図の記事で紹介した、M16アンカーボルト(ホールダウン金物)を省いた代わりにグレードを上げた接続金物になります。
通常のものがピンが1本なのに対して、交差して2本打ちます。
普通、平屋では付けないグレードだそうです。

柱を立てたら、こんな感じです。
柱立て完了
全部の柱を立てたら、完了です。

だんだん高さが出てきました。
おわりに一言
最後まで読んでいただきありがとうございます。
柱を立てる際、妻に手伝ってもらいました。
ほぞを入れ込むチョットの間、持っていてもらうのですが、
これが、とても助かります。
一人作業をされている方は、ご存知でしょう。
この「 固定するまでの少しの間、動かないようにする 」というのが、意外と難関です。
私は、よくクランプを使ったり、簡単なジグを用意したりしてます。
でも、誰かに持ってもらうだけで、この回りくどい作業を省いたりできます。
他にも、1人で持てないような重いものを持つ時や、手渡しで運んでもらったり、など、チョクチョク手伝ってもらってます。
本当に感謝、感謝です。
ありがとう。
妻に出会えて、私は幸運です。


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